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ルーー、ルーー、ルーー
ふあーー
ヒロが両手を挙げて起き上がり、カウンター椅子から下りた。
携帯電話の受話ボタンを押した。
「はい、ヒロです」
≪ヒロか!絵が盗まれた!≫
会長が慌てている。
「えっ!絵?」
≪風神雷神や!≫
「ど、どうしてですか?」
≪事務所が武装集団に襲われた。今日の夜10時にロシアが来る。絵が無ければ違反金10億払わんないけんのや!金はいいんや、ロシアマフィアと信頼関係が崩れ全面戦争になりかねん。ヒロ、どうにか取り返せ!≫
「は、はい。すぐに事務所に行きます」
≪頼んだぞ≫
「はい」
ヒロは電話を切った。
「今のは夢か……」
寝ぼけ眼のヒロはホッペを摘まんだ。
「いてー!」
すぐに龍に電話を掛けた。
ルーールーールーー
《今電話に出られません……》
龍は電話に出ない、留守電に繋がった。
「学校かな……」
麗子に電話を掛ける。
ルーールーー……
《はい!》
「ハニー、おはよう」
《マイダーリン、グッドモーニング。どうしたの》
「明日のパリ行きは、中止や」
《なんで、もう荷物用意したのよ》
「客先から絵が盗まれた」
《うそー!、誰が盗んだのよ》
「わからん」
《だけど、こっちの責任じゃないでしょう》
「そうやが、客先から奪回の依頼が来た」
《いつまで?》
「今日中」
《そんなん、無理でしょう》
「上客やから、動かんとね」
「会長から……」
《いや、その下からや》
《烏丸会を敵に回せないわね。すぐにそっちに行く、朝食作っといてね。サラダとハムエッグにパンね》
「OK、じゃあ俺は麗子を食べる」
《アホ!朝からなに考えてんのよ》
「あれ」
《パリに行ってから》
「オカナすいたよー」
《駄目!》
麗子は電話を切った。
「ちぇっ!お前は彼女やろうが、なんでHさせんのや。もうたまらんパンパンや。ふうーー」
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