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当番用の広い事務所から奥の部屋に入ると二名の組員が、白い布を頭から被せられて横たわっている。
「警察には……」
「連絡できません」
盗難の絵があるし、やくざが警察の手をかりるのはメンツが立たない。
部屋の奥には銀行の金庫ほどある大きな金庫が爆破されてトビラが床に落ちている。部屋の壁にはミシンメの様に銃弾の後が無数にある。
「頭、状況を教えて下さい」
「早朝、六時に、３人の完全武装の盗賊がビルの入り口の警備員２名をサイレンサーで射殺し、階段で八階に上がってきて、当番８名の組員と銃撃戦になり、２名射殺、６名重傷、そしてここの金庫を爆破、絵と金塊１０キロ、現金１億円を奪われました。要した時間はたったの五分です。相手はプロです」
「はあー、それは凄いですね。外国ではこんな事はありますが、日本では初めてですね。それも烏丸会を狙うとは……」
「相手を生かしちゃあおけないんです。夜十時までに絵を取り戻せと会長から命令がでているんです」
「手がかりは」
「乗ってきた車は、トヨタの黒のアルファードしか分かっていません」
「ナンバーは？」
「隠されていました」
「アルファードは人気車種ですし、どこに逃げたのか分からないですね？」
「京都からの出口はすぐに組員を配置しましたから外には出てないと思います」
「列車は？」
「すべて配置しています」
「警察の助けがいります。誰かいませんか？」
「薮田の後釜の浅田と言う警部を飼い慣らしています」
「各所の監視カメラの映像が欲しいのですが……」
「映像は浅田から貰います。それと烏丸会はアメリカのセキュリティ会社と契約していまして、市内の衛星画像があるはずです」
「衛星画像ですか、進んでますね」
「やくざは軍と同じで、最先端じゃないと生きて行けないんです」
「どこか、対策本部を作りたいんですが……」
「装備が揃ったカチコミ用のコンテナトラックがあります」
「装備とは……」
「何でもあります。トイレ、シャワー付きです」
「装備は……」
「スワット並みです」
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