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「兵隊?京都を火の海にする気」
「麗子、今回はいいわ」
「あたしがいないで、解決できるの」
「龍と何とかするわ」
トン、トン
ドアがノックされた。
「どなた!」
「四方から頼まれてきました」
若い女性の声がする。
「麗子、助っ人や」
「どうぞ、開いてますよ」
ギーー
FBI捜査官のようなピシットしたスーツを着た女優と言ってもおかしくない長身の美人が、店の中に入ってきた。
ヒロは目を大きく開けて見いている。
麗子がヒロの顔を見て、あんた「何よ!」と言わんばかりに、眉間にしわを寄せて睨みつける。
「あのーまさか、自衛隊出身の方じゃあないですよね」
「陸自のレインジャー部隊にいました」
「まさかー!レインジャー部隊は特殊部隊じゃないですか」
「戦闘とコンピューターのプロです」
「どうぞ、座って下さい」
「いえ、時間が有りませんので……」
「まっ、焦っても仕方ありません。情報はまだ来てないでしょう」
「ええ、それでは5分ほど作戦会議をしましょう」
美人は椅子に座った。
「作戦会議……」
ヒロが冷蔵庫から缶コーヒーを取り出して美人の前に移動した。
「お名前は?」
「菅野と申します」
「下の名前は?」
「えっ、聡子ですが……」
「僕はヒロで、あっちが麗子です」
「はい、よろしくお願いします」
「ヒロ、あたしもう帰るわ、ごちそうさま」
麗子はふくれ面で店を出ていった。
「いいんですか……」
「いつもあんな感じです。またすぐに来ますから、心配ご無用。だけど聡子ちゃん綺麗ですね」
「そんな事より、これからどうするんですか?」
ヒロは菅野の美貌をしげしげと見とれている。
「聡子ちゃんと、飯でも食べに行きましょうか」
「ちょっと、まじめにやって下さい」
「じゃあどうすれば」
「トレーラーに乗るのです」
菅野は椅子から下りた。
「隊長は僕です。僕の命令に従って下さい」
「失礼します」
菅野はそそくさと店を出ていった。
ヒロは慌てて、カウンターを出て、店の外に出た。
店の前には小振りなコンテナトラックが駐車している。
菅野は助手席に乗り込もうとしている。
「すぐ行きます。ちょっと待っていて下さい」
菅野は後を向いて頷いた。
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