プロローグ

7/10
前へ
/17ページ
次へ
ヒロはミニパソコンとバックを持って店に鍵を掛けた。 黒いスーツにサングラスを掛けたがっちりした組員がコンテナのドアを開けている。 ヒロはコンテナに飛び乗った。 ガチャン アルミ製のドアが閉められた。 中は狭く、固定の椅子が6個と両サイドにテーブルが置かれ、キーボードが並んでいる。4人の組員が身を屈めて立ち上がった。 「よろしくお願いします」 「よろしく」 ヒロは空いている椅子に座った。 「これをどうぞ」 小型のインカムをヒロは渡された。 「隊長は誰や」 「菅野です」 「副長は」 「私です、佐々木と申します」 《ヒロさん、移動します》 インカムから菅野の声がする。 「どこに?」 《黒のアルファードを発見しました》 「もう見つけたんですか?警察より凄いな」 《五条のイオンショピングモールで発見しました》 「菅野さん、こっちに来て下さい。作戦会議をしましょう。この事件は何か裏がありそうです」 《分かりました》 コンテナの壁に貼り付けられている液晶画面には、京都の街が事細かに映し出されている。 「佐々木、衛星画面はどれや」 「あれです」 佐々木が運転席側の大型画面を指さした。 ガチャ 菅野がコンテナに乗り込んで、ヒロの対面の椅子に座った。ヒロがくるっと椅子を回転させた。膝と膝が触れ合う。菅野が膝を引いて、背筋を伸ばした。 「菅野、今まで分かった情報を説明してくれ」 「先に車を出します」 「よし」 「モールに行け」 ブゥーー コンテナが発車した。 「盗賊は二台の同じ車に乗っていたようです。一台が見張りで、一台が襲撃です。五人から六人のチームです。装備はサブマシンガンに携帯ロケットランチャーに手榴弾、防弾装備などです」 「そいつらは北から来たのか?」 「体つきを見ると東洋人ですが、北の装備ではありません。すべて最新の米製です」 「資産家か」 「その辺のこそ泥じゃあありません。プロ中のプロです」 「日本にはいないだろう」 「たぶん国際盗賊のヒドラだと思います」 「あー!ヒドラ!中東の王家を次々に襲った奴やないか!怪盗ラスプーチンやないか、それなら逃走経路も確保しているやろうが」 「そうなんですが、京都にいるのは間違いありません」 「なぜや」 「一通のメールが来ました」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加