プロローグ

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「自信のある奴やのう」 「次は会長の魂を奪うとメールが来ました」 「麗子や!」 「心配いりません。秘密裏に麗子さんには30人の護衛がついてます」 「麗子にばれんか」 「十分注意しています。影武者も二名用意しています」 「さっきのは偽物?」 佐々木は首を傾げて、ヒロを軽蔑の目で見る。 「分からないんですか?」 「冗談や」 「相手の狙いは絵やないな」 「そうです。会長の命か会の崩壊を狙ってるようです」 「それで逃げんのやな、次々ウイルスの様に内部から攻撃するんやな」 「さすがヒロさん、回転が速い」 「麗子だけは絶対に守る。ここに呼ぶ」 「それは危険です。私たちは攻撃部隊です。死ぬ可能性があります」 「絶対に大丈夫か」 「首相なみの警護です」 「わかった」 「やっぱりおかしいなあ、麗子を狙うなら宣言せんやろう」 「よくある戦術パターンです。目的の真逆を敵に突きつける」 「陽動作戦か?」 「そうですが、麗子さんが会のネックになっていることは事実です。もう知らせた方がいいと思います」 「それは会長が決めることやろうが……」 「……」 「その盗賊はスーパーマンやな、次の攻撃は」 「分かりませんが、ロシアと揉めるのも会崩壊に繋がります。まずは絵の奪回です」 「わかった」 《イオンモールに着きました》 運転手が指示をこう。 「駐車場に入れ」 「手がかりは有りますか?」 「ないでしょうが、襲ってくる可能性があります」 「なぜ」 「プロが車をすぐに発見させますか?」 「じゃあ、俺も狙われていると、餌に俺を使っているんか!」 「……違います」 「まっ、仕方ない会長と麗子の為や」 「俺にも武器をくれ」 佐々木がテーブルの下から薄い防弾ベストと拳銃をヒロに差し出した。 「これトカレフか?こんなんで戦えるんか?」 「京都でマシンガンを撃てないでしょう。それこそ暴追が市民に広がる」 「そうか、五条のイオンと言えば京のど真ん中のショッピングモールや、そこで銃撃戦になれば、一気に烏丸会は各方面から攻撃をうける」 「そのトカレフはフルメタルジャケットです。ライフル弾の威力があります。その分、反動もありますから注意して下さい」
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