てのひらの愛

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理子ちゃんがたっちゃんを庇った? 立ち塞がった? 分かるようで分からない、たっちゃんの心境。 でも、昨日の放課後に会った時と比べると、憑き物が落ちたような顔をしていた。 昨日はとてもじゃないけど、話が出来る状態じゃなかったのに。 「……遅い」 「ご、ごめんなさい」 慌てて向かった下駄箱の傍らには、一志くんが少しだけ不機嫌そうに立っていた。 わたしが駆け寄ると、やれやれといった表情で歩き始める。 「あの、さっき、たっちゃんと話しました」 「白石と?」 「はい。理子ちゃんの事が心配だったみたいで。……噂のことも、謝ってました」 「ふーん」  
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