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「はくしょん!」
肌がゾクゾクとした後、盛大にクシャミが出た。
……そう言えば私、家で寝てて起きたらいつの間にかこんな外に居たんだよね。
スウェット姿の自分に気付く。
何かコートかジャケットか欲しいかも……。
「えーん……」
手と手を擦り合わせていると、何処からか子供の泣き声がする。
「えーん……」
声の聞こえる方へ近付て行った。
「えーん……」
小さな男の子が瓦礫の下敷きになってる!
急いで男の子の方へ走って行った。
「だ、大丈夫? 今助けるから!」
私は男の子の上を覆う瓦礫に手を掛けようとする。
「あっちいけ! お前なんかに助けてもらいたくない!」
耳を疑った。
何で? 私が一体何をした?
嫌われてるの? 助けない方が良い?
私は一瞬固まったが、目の前に居る男の子を見て考えを改めた。
血が出てる……。
――近寄るな!
――あっち行け!
そんな罵声を浴びさせられても、今はこの子を助けるのが先決。
「何もしないから大丈夫」
男の子は聞いてないだろうけど、私はそう言いながら瓦礫を持ち上げようとする。
お、重い……。
女の私には無理……と言うか、力のない私は無理。
けどこのまま見捨てる訳にはいかないし。
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