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「エナちゃんエナちゃん」
ギンさんが私に呼び掛ける。
「オレの袖の内側にポッケがあるんだけど、そこに金入ってんだ。悪いんだけど取ってもらえる??」
「えっ!? 私降りるから」
私は足を伸ばすと、ギンさんの腕に力が入る。
「取って」
……有無を言わせない、降ろす気もないって……意外と腹黒いのか、それとも我が儘なだけなのか。
今まで裸足だったんだし、別に地べた歩いたって気にしないんだけどな……。
けどこのままじゃ、ずっと降ろしてくれなさそうだ。
人のお金に手を伸ばすのは気が引けるけど……しかもそれ以上に服の中に手を入れるってどうよ……。
「取れる?」
はいはい、わかったよ。今取るからッ!
私は少し眉間に皺を寄せ、ギンさんの服の袖口に手を入れた。
これかな? ポケットらしきものを見つけ、中に入っていた紙を出した。
「悪いんだけど店の人に渡して」
私は店員さんにお札らしきものを渡した。
店の方はニコッと眩しいほどの営業スマイルで受け取る。
「は~い、丁度頂きました~」
ペこりと会釈をし、店員さんはブーツを台から降ろして私とギンさんの足下に置いた。
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