第3章(上)

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「念願の履き物ですよ。エナちゃん」  そう言って、ギンさんはゆっくりと私をブーツの上に降ろした。  そこに降ろされた流れで、私はブーツを履く。  あれ? これサイズ大きい……大き過ぎない? 男物くらいデカイ気がする。  そうだよ。靴を買うときは1度履いてみないと……しかも夕方に試着するのがベスト。  あれこれ思考しながら私が固まっていると、何だか履き心地が良くなってきた。 「あれ!?」  ついつい叫んでしまった。だって、さっきまでブカブカだったブーツが今じゃピッタリじゃないの! 何で?? もしかしてこれも法術ってヤツ? 「どう?」  ギンさんが私を覗き込み、瞳をじっと見ながら聞いてきた。 「えっ……ぴ、ピッタリです」  そう答えるしかないよね。実際丁度良いサイズになったんだから。 「良かった。んじゃオレが紐結んであげる」  へ??  彼はそう言ってしゃがみ込むと、ブーツの紐に手を掛ける。
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