第3章(上)

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 ……あれ? この人、物凄くいいひとですか!? それとも私が物に釣られてそう思ってるだけですか!?  ともあれ、追い剥ぎとか変質者とか言ってごめんなさい……。 「あぁ、けど1つだけ」  私はびくりとした。  何だよ! やっぱり条件があるのかよ! 前言撤回。 「あのね、可愛らしく『ギン』って呼んで」  何か前にもそんな事言う子がいた記憶が……。ギンさんって、あの姉妹を足したような人だな。  呼ぶのは構わないが、冒頭の部分が少し引っ掛かるのだけど。 「駄目?」  そ、そんな子犬の様な目で見ないでくれ……。  けどそんな事で良いなんて欲がないのかな?  私は彼に1歩近付いて両手を後ろに回し、指を交差した。  私より背の高いギンさんをちらっと見る。  そして首を傾けて、上目遣いってヤツ。 「あ、ありがとう……ギン……」  …………っ。  き、気持ち悪い!  ぎもぢわるい!!  自分が嫌になるっ!  首を傾げて上目遣いで……って、これが世間一般でいうモテポーズなの?  只の頭のいかれた女じゃないか!? 「私はアホか……」  小さく呟き、私は溜め息と共に項垂れた。
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