第3章(上)

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「あそこには行かない方がいい」  ギンさんが私の腕を掴み、テントに行く事を阻んだ。  目を細めて、何時になく真剣な眼差しで私を見据える。 「??」  行った事あるのかな? 「エナちゃんが行くようなとこじゃないよ。それよりもっと面白いとこ知ってるからさ」  ギンさんは素早く口角を上げて、よく見せてくれる笑顔に戻った。  別に行きたい訳ではないし、行かない方が良いって言うのなら行かないでおこう。  その時、テントから若い青年が出てきた。 「もうすぐ始まりますよ~! 世にも珍しいトロール人間」  トロール?  私はその単語に反応してテントを見てしまった。すると青年は私の視線に気付き、近くに歩み寄って来た。
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