第3章(上)

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 テントに着くと、ギンさんは虚ろな目をして下を向き、ぶつくさと何か言っていた。 「来てしまった。来る気はなかったのに……けどエナちゃんに手を握られたんだよ。男として一緒に行かなきゃ……。あ~、エナちゃんの手、柔らかかったな。あわよくばもう1回……」  ……何言ってるかは私には聞こえません。  それより、まだ始まらないのかな?  私はワクワクと胸を高鳴らしていた。  完全にサーカスか何かと勘違いをしていたのだ。  親子が避けるサーカスなんて聞いた事ないのに。
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