第1章

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 いつものように目が覚めると、金縛りにでもあったかのように私は身動きがとれなかった。  頬に触れる風。耳に入る音。  そして周囲にある筈の壁がない開放感。寝ぼけ眼に映っているのは私の部屋じゃない。それどころか部屋の中でさえない。  視界に広がるはお洒落な町並みや噴水。  外……? 何で??  お酒の飲み過ぎで酔っ払ってしまい家と間違えて屋外で寝てた……という事はない。一滴もお酒を飲んでないので。  私、実は夢遊病の気があって……ってそんな筈もないし……。  寝ている間に誰かに放り出されたか……いやいや、誰に……。恨みを買うような事してないし、至って平凡な家庭の生まれですし。  少し考えたが答えは見つからず……。  ……ほんと何これ?  ここはスタジオで映画の撮影か何か?  まさかドッキリ!?  行きついた先にはそんな思いが脳裏をよぎってしまう程の状況。それこそあり得ない。有名人でもない素人の私をはめても、何の得にもならない。  あ、夢だ……うん。そうだ夢。  これは夢だ、と言い聞かせても、手足に縛られた縄の痛みで現実に戻される。開放的な周囲とは違い、私の身体は束縛されていた。動けなかったのは縛られていたからか……納得。  いや納得するなよ。何で縛られてるんだ私。それに何だかフワフワする……というか、ガタガタするというか安定しない感じがする。  良く考えると地に足が着いていない。それに寝ていた筈なのに重力が足の方へ……私、立ってる? え……地に足がついてないのに立ってるってどういう事……。  ゆっくりと恐る恐る目線を下げる。  そして、下を見てその高さに驚いた。
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