第1章

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 十字に建てられた木の柱……。  そこに縛られている私……。  これが磔刑というものか……初めての体験だ。  私はキリストか! ……と、ツッコミたいところだけど、そんな事は許されない雰囲気。  沢山の人々が磔柱にぞくぞくと集まっている。これは一体どういう状況? 情報量が一遍に来すぎなんですけど。  ザワザワとうるさい周りの野次馬らしき人たちの視線が痛い。見せ物というよりも、もっと嫌な……陰湿な感じがする。  その目は私を蔑むような。  罪人でも見るような。  刑罰を見に来た悪趣味な貴族、または肉親を殺された親族のような。  今にも罵声が飛んできそうな雰囲気……。  何より不思議なのは【髪の色】だ。  赤やら緑にピンク……?  これはゲームか?  それとも皆でコスプレか?  本当にどういう状況? 私の頭じゃ理解が追いつかない。髪を派手に染めるのが今の流行りなの? 国民のコスプレが私服にでもなったの? 何かのイベント会場??  そんな事を考えてたら野次馬の中に居た、1人の幼い男の子が近付いて来た。
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