桜と少年

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 密かに闘志を燃やしていると、校門が見えてくる。  いつもは開いている正門だが、今日は早く来過ぎたのかまだ閉まったままだった。  燃やし始めたばかりの闘志は呆気なく鎮火され、門が開くまで手持ち無沙汰になってしまった僕は、時間をつぶすために裏庭に向かうことにした。  学校説明で見て以来、一度も来なかった場所だが、確か大きな桜の木があって綺麗な場所だった気がする。  裏庭へと続く角を曲がると、目に飛び込んできたのは淡い桃色と澄み切った青空。  大きな枝垂れ桜が、花弁の飛沫を散らしながら堂々と咲き誇っていた。 「ねぇ、キミ誰?」 「おわっ!」  息をするのも忘れるほどその風景に見惚れていると、背後から声をかけられた。 「……ど、どろぼう?」  声をかけてきたのは桜の花びらをあしらった白い着物を着たおかっぱ頭の女の子だった。  不安そうな顔で僕を見ている。 
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