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「じゃあ私が友達になってあげる」
「えっ」
突然の友達宣言に驚いていると、彼女は続けて言う。
「あ、今日はもうすぐ授業始まっちゃうから遊べないけど、いつも裏庭にいるからキミが遊びに来てよね」
「え、あ……うん」
「もうすぐチャイムが鳴っちゃうから行った方がいいよ。また今度、ここに来てね」
早口にそう言って、最後に「約束だよ」と可愛らしい笑顔で彼女が言った。
返事をしようとした瞬間、強い突風が吹いて思わず目を閉じてしまう。
風が止み、目を開けるとそこに彼女の姿は無く、ただ立派な枝垂れ桜が枝を揺らすだけだった。
「消え……た?」
突然おこった超常現象に呆然しながら彼女の姿を探すと、足元に下手くそな字が書いてあることに気がつく。
「えっと、sakura.sugoi@……ってメアド!?なんて言うかこう、台無しだ!」
桜舞う裏庭で出来た初めての友達は、神秘的なんだかアホなんだかよくわからない女の子だった。
何とも言えない気分になってしまったので、明日注意してやろうと心に決めて、僕は教室に向かって歩きだした。
―END―
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