プロローグ

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ダッダッダ… 先頭を走っていた栗丸亮はタータントラックの白線を越えたと同時にスピードを緩め始め、やがて止まる。 「お疲れ様、またタイム上がったじゃん」 トラックのレーンから離れて止まった亮に、小走りで駆けてきたマネージャーの前田さんがタオルとスポーツドリンクが入ったボトルを差し出してくる。 「ありがとう」 と声を出し、後からゴールする部員の方を向きながら、スポーツドリンクを少し口に含み、全身から吹き出ている汗を拭う。 トラックには自己ベストを出すため、ライバルに勝つため、レギュラーになるために全力で走っている部員と、この春入部した新入部員が走っている。 亮は、2着でゴールした副部長にボトルを渡し、 「お疲れ」 とだけ声をかけ、通路に向かって歩き出した。
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