二章 -使い魔召喚-

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「では、説明した通りにやってください。同時でも順番でもかまいませんよ。」 セレナにそう言われ、ルークはアリスに声をかけた。 「どうする?同時にやるか?」 ルークの問いに、アリスは首を横に振った。 「わ、私・・・先にやっても・・・いいかな・・・?最後は・・・恥ずかしい・・・から・・・」 「ああ、いいよ」 俯きがちに言ったアリスを見て、ルークは即答した。 「ありがと・・・じゃあ・・・やるね・・・」 アリスは大きく深呼吸をすると魔法を唱えた。 「・・・・《星龍の咆光(アストラルレイザー)》」 アリスの前に光の粒子でできた龍が現れた。 その龍は何かを吸い込み、吐き出すような動作をしたあと空(くう)に溶け込んでいった。 しかし何も起こらず辺りは静寂に包まれた。 そんな中へ馬鹿にしたような嗤(わら)い声が響き渡る。 やはり。と言うべきか、その嗤い声の主はシリウスだった。 「はははははは!何だ何だ!?大層な物を出したから何をするのかと思えば!何も起こらないじゃないか!さすが落ちこぼれ!」 シリウスの言葉を聞き、彼の取り巻き達も笑う。 クラスメイトの中にも何人か笑った者もいたが、他は茫然としていた。 その理由のほとんどは初めてみる魔法への驚きだったが、ある3人―ルーク、セレナ、シオンだけは違っていた。 (『星龍の咆光』・・・光の神級魔法か・・・不完全とはいえ、詠唱破棄で発動させるとはな…) 『星龍の咆光』は最強と言われる神級魔法の一つで、もしもアリスが完全に発動できていたら前方1キロは消滅していたであろう。
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