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「……い、いやいや、有り得ないだろー」
だって俺そんな可愛くないし……つか凡人顔だもん。
誰がこんなやつ狙うかよ……。
朱の皮張りのソファの背にもたれながらため息。
つかこのソファ趣味わりぃ。
「まったく、無自覚も大概にしないと本気で危ないぞ~」
「へ?なんか言ったか?」
「ううん、こちらの話」
なんだよー気になるじゃん。
「ところで、これ、寮の部屋のカードキーね」
上着のポケットからさっと取り出したものを俺に投げてよこしてくる。
「!?ちょ、危ねーなっ」
普通角が直角に曲がったこんなもん至近距離から投げてくるかっ。
一歩間違ったら突き刺さってたぞ……俺の額に。
「いやー流石俺の恵ちゃん!野薔薇姫っていう名前は伊達じゃないねー」
幸い済んでのところで避けたカードは後ろのきらびやかな壁に見事突き刺さったわけで。
「一々俺を試すの止せよ!つかその名前を呼ぶなああ!」
「えー、なんで?可愛いじゃん“野薔薇姫”」
「可愛いとかうれしくねーよっ、つかその呼び名はあいつを思い出すから嫌なんだよー!」
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