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    ふわり、開け放した窓からの風でカーテンが揺れた。白いシーツの海に身を沈める男はまだ起きない。 かち、かち、と音を立てながら時計の秒針は着々と目的地まで分針と時針を誘導する。そして、3本の針が重なった時。 けたたましい目覚まし時計の音が男を襲った。 耳よりもまず頭を抱えながら男はがばっと上体を起こした。そしてそこら中に仕掛けられている目覚まし時計を眠らせにかかる。 全て静まらせて男は大きな溜め息を吐いた。大方は先日泊まりに来ていたまだ幼い甥の悪戯だろう。しかし悪い気はしない。男は甥を溺愛しているのだ。 んっと声を漏らしながら伸びをする。陽はまだそんなに高くないがのんびりもしていられない。     
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