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    ど真ん中の電車内をよく見渡せる席に陣取って、一は人間観察を開始した。 仕事だと言うと少し語弊があるが、趣味ともまた違う。人間観察は一の夢を叶える為の作業であり、いつの間にか日課になった行為である。 さっと周りに目を向けて気になる人物を探す。現段階では特にいないな、と思って電車のドアの閉まるのをぼんやり眺めていたが、直前に駆け込んできた4人の男子高生に気を取られて目が離せなくなった。 彼らは1人1人を見ればどこにでもいる子だが、一はその組合せに興味をそそられた。 まず髪を明るい色に染めた子が2人。1人は茶髪で1人は金髪。制服を見事に着崩していて、メロンパンを2人で半分こにして食べている。マナーは悪いが微笑ましい。     
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