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ぐらりと車内が揺れた。
やばいと思った時にはもう遅く、一はバランスを崩して前につんのめった。そしてそれは同じくバランスを崩した茶髪の男子高生がメロンパンを落としたのと同じタイミングだった。
もふっ。
靴の裏には柔らかい感触。
目の前には憤怒の形相。
やってしまった。
「てんめぇぇ!!俺のメロンパン踏みやがったなァ!!」
「うん、ごめんね」
「馬鹿にしてんのかてめぇは!!ごめんで済むなら検察は要らねえ!!」
「警察な。ちょっと難しい方の言っちゃったな」
「どっちでもいいわ!!とにかくなァ、このメロンパンはなァ、ある人が手作りしたモノなんだよ!!」
「そうか。母親は大切にしろよ」
「違ぇよ。これはな……」
茶髪の子が何やら語り出そうという時に、もさ髪の奴が間に割って入った。意外と背が高く、後ろ姿を見上げる感じになる。
「いい加減にしろよ。煩いぞお前。一二三さんの前でこんな失態するな」
ヒフミさん…?
ああ、もしや編み込みのリーダー格の子の名前か。彼はこの事態を丸く収めようとしてくれているのか。
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