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荒れた地を懸命に耕す少女がいた
少女は先の戦で父をなくし、病に臥せていた母もつい先日逝ってしまった
少女の名は《雪乃》という
雪:全く、今日も雨が降らないなんて…どうなってんの?
額の汗を拭いながら天を睨み付ける
憎らしいほどに晴れ渡る空に、悔しさをぶつける様に側にあった小石を投げた
石は綺麗な弧を描きながら土手の方へと飛んでいく
??:………イテッ!?
突然土手の向こうから声が聞こえた
慌てて駆け寄ると、男が一人頭を押さえながら屈んでいた
雪:だ、大丈夫ですか!?
??:だ、大丈夫、大丈…ぶ……あれ?
涙目で顔を上げた男は、雪乃の顔を見た瞬間、目を見開いた
??:………雪乃ちゃん、だよね?
雪:えっ……と…誰、ですか?
??:そんなぁ、忘れたの?僕だよ、秀吉!
雪:~~秀吉君!?
秀:うん!思い出してくれた?
ニコニコ笑う男を改めて見ると、確かに幼なじみの優しげな面影が残っている
秀:いや~、まさか雪乃ちゃんにまた会えるなんて!元気にしてた?
雪:…うん、元気だったよ?
雪乃は再会した喜びよりも、自分の見知った幼なじみでなくなった秀吉に少し戸惑う
秀:ふーん、そうだ!おばさんたちは?元気?
雪:……あのね秀吉く…
??:秀吉!テメェこんなとこに居やがったのか!
二人が振り返ると馬に跨がった男がいた
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