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「さて……座って。お茶でも淹れるわ」
「えっ?」
静谷さんはそう言って棚からティーセットを取り出した。
「あれ運ばなくて良いんですか?」
「放課後までに運べば良いの。ちょっとくらい遅れたって大丈夫よ」
静谷さんはにっこりと笑ってお湯を沸かし始めた。
「色んな物があるんですね……」
「えぇ。ほとんど私物なんだけどね」
「静谷さんのですか?」
「私のはテレビとパソコンとヘッドホンだけ。このティーセットや棚にあるのはほとんど会長のよ?」
そう言われて俺は棚に目を向けた。コーヒー豆とか茶葉とかがいっぱい置いてある。マンガもあるし……
ってテレビとパソコン私物!? やっぱりお金持ちなんだなぁ……
「ねぇ、1つ訊いても良いかしら?」
お茶を淹れ終わった静谷さんがそう言った。普段使ってるのと同じ机も、テーブルクロスを付けて向かい合うように座ったら全然違う感じがする。
「あの希ちゃん、もしかして彼女?」
「ち、違いますよ!」
紅茶を吹きそうになった。どうしてみんなそう勘違いするんだ!
「でもあの時に電話してきたの、あの子よね?」
「そ、それは……」
「おかしいと思ったの。私は女の人としか言ってないのに妹だって答えたから。そうしたら希ちゃんが全く同じ声だったの。どういう事かなぁ?」
静谷さんが軽く微笑みながら言ってきた。なんか笑ってるのが却って怖く感じる。あぁ、やっぱり嘘なんてつくもんじゃないなぁ。
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