2.ただの先輩ではありません

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  「すみません、その通りです……」 「あ、いえ、怒ってる訳じゃないのよ? ただどうしてあぁ言ったのかなぁって思ったの」  静谷さんがそう言う。あぁどうしよう、さすがにここで嘘を言う訳にはいかないかな。 「えっとですね、俺と希、実家が凄く田舎なんです。で、家が隣同士で昔からの幼なじみで……高校に通う間この近くで2人で暮らす事になったんです」  ティーカップを口に運ぶ静谷さんの手が、最後の言葉で止まった。 「あっ、いや、2人で暮らすのはただの経費削減で本当に付き合ってとかは……」 「えぇ、わかってるわ。ごめんなさいね、まさか一緒に住んでるとは思わなくて」  静谷さんはそう言ってにこりと微笑み、紅茶を1口飲んだ。  その微笑みで、俺はわかった。この人ってもしかして…… 「でも、私が訊きたいのはそういう事じゃないの。どうしてそれを私に言わなかったの、って事。私には知られたくなかったの?」 「あっ、いや、それはその……」 「うふっ、冗談よ。恥ずかしかっただけよね?」  静谷さんはまたくすりと笑ってそう言った。そりゃそうだ、こんな事本当は誰にも知られたくない。アスカ達だって希が言わなければバレるまで黙ってただろう。  でも、この人に対しては違う気がする。知られたくないのは同じだったけど、あの時は恥ずかしいというのとはちょっと違う感じがした。
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