2.ただの先輩ではありません

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   それからしばらくするとチャイムが鳴った。授業が始まったらしい。 「じゃあそろそろ……」 「大丈夫よ、15分ならいなくても欠課にはならないわ」  静谷さんがそう言って空になったティーカップに紅茶を注いだ。 「でもサボるのはちょっと……」 「あら、真面目なのね」  静谷さんは少し驚いたような表情をした。真面目……いや、ついさっき頭が悪い事を知ったから勉強しないとやばいって思ってるだけだ。 「じゃ、このお茶を飲み終わったら行きましょ? 希ちゃん達が言ってくれてるだろうし、そのくらいなら構わないわよね?」  そんな言い方をするもんだから俺は頷くしかなく、仕方なく紅茶を飲み出した。 「ところで、あれはどこに運ぶんですか?」  俺はパソコンの前に置かれた冊子を見た。 「あぁ、あれ? 職員室よ?」 「近っ! 授業遅れる程じゃないじゃないですか!」 「えぇ、そうね」  静谷さんはにこりと微笑みながらそう言った。あぁダメだこの人の考えがわからない。 「……他のみんなは授業を受けてるのに、私達はこうやってお茶をしながらのんびり。ちょっとドキドキしない?」 「えっ、い、いや……」  静谷さんがそう言って俺を見て微笑んだ。その微笑みはさっきまでのとは違いとても大人っぽく、俺は思わず目を逸らしてしまった。 「あら、私はドキドキしてるわ。結原君といるからかしら?」 「え、えぇ!?」 「ふふっ、冗談よ。さ、行きましょ?」  静谷さんはそう笑って立ち上がった。これってもしかして……  俺、思いっきりからかわれてません?  
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