2.ただの先輩ではありません

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   結局俺が教室に着いたのは授業が始まって10分ほどした時だ。後ろのドアから入ってすぐに席に座る。 「ナオお疲れさま!」 「思ったより時間かかったんスね」  希とアスカにそう言われた。まぁお茶飲んで話してたなんだけどな。 『おつかれ(・o・)ノ』  少し遅れてアカリがそんな事を書いたノートを見せてきた。授業中は携帯が使えないから筆談だ。  筆談の時はこの顔書くの大変そうだなぁ。でも本人が完全に無の表情だから書かないと感情がまるでわからないか。 「あれっ?」  希が俺の顔を覗き込むように見た。俺は反射的に顔を反らせて避けた。あぁでも近い! 少しは気にしろよしかも授業中だぞ!? 「ナオ、顔赤いよ? 風邪?」 「風邪?」  俺は自分の額に手を当ててみた。風邪……引いてないよな? うん、熱っぽくもないし、喉だって痛くない。そもそも俺は丈夫な方で風邪なんて中学生になってから1度も引いてない。 「気のせいじゃないか?」 「そうかなぁ……アスカとアカリも思わない?」 「う~ん、ちょっと赤いと思いますけど……たぶん希さんの顔が近いからじゃないスか?」  アスカがそう言うと、希は「あぁ!」と納得した。いや顔が赤いのが気になったから見たんじゃねぇのかよ! 『希の顔が近いからだと思うよ(-∀-;)』  うん、筆談だと1テンポ遅れるね。普段携帯で文字を打つのが喋る並みに早いから余計にそう思う。
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