2.ただの先輩ではありません

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  「も、もしもし?」 『あ、もしもし結原君? 今電話しても大丈夫かしら?』 「あ、はい。大丈夫です」  電話でもやっぱり上品な感じの静谷さん。なんだろう、何か凄く緊張するな…… 『メールに書いてあった事、詳しく聞きたくて』 「あぁ、はい。えっと……」  メールに書いたのはヨシノの事だ。俺になつかない、近付くと威嚇されるという事だ。 『そうねぇ……エサは誰があげてる?』  説明し終わると静谷さんはそう訊いてきた。 「う~ん……たぶん希があげる事の方が多いです」 『なら結原君があげるようにすると良いわ。エサを手に乗せて食べさせたりすると良いわよ?』  携帯越しにそんな声が聞こえてくる。確かにそれは良いアイデアかもしれない。けど…… 「俺が手を出すと噛むんですよ」 『あら、そうなの? 噛まれた時はどうしてる?』 「とりあえず噛み終わるまで待って、それから……」 『ダメね』  俺の意見はその声に分断された。 『それだと結原君の手は噛んでも良い物だって思われちゃうわ。悪い事をしたらちゃんと叱らないとダメよ?』  あぁ、道理で毎回噛むわけだ。ヨシノから見た俺は本当に標的にしか見えてないのか。  ふと携帯越しに踏み切りのサイレンが聞こえてきた。学校の近くに踏み切りがある。きっとその音だろう。  
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