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「静谷さんまだ学校の近くにいるんですか?」
『えぇ、ついさっき学校を出た所よ』
掛け時計を見ると6時を回った所だった。そういえば放課後も生徒会室にいるんだっけ。
『で、今結原君の家に向かってる所』
「え、えぇぇぇ……」
い、いきなり何を言い出すんだこの人は……
「ナオ、どうしたの? 誰から?」
俺の様子に疑問を感じたのか、台所から希がやってきた。
「えっと……静谷さんから」
「お嬢様先輩っ!?」
希の手が視界を一閃した。気が付いたら俺の左手に携帯は無く、希がそれを耳に当てている。
「もしもしっ! はい、お久しぶりです!」
いやさっき会ったばっかじゃねぇか!
「えっ、今からですか? 大歓迎ですご飯作って待ってます! あっ、じゃあナオが迎えに行きます!」
希がそんな事を言って電話を切った。
「ナオ! お嬢様先輩が来るって!」
「えぇ~……マジかよ……」
「えっ、嫌だった?」
「いや、そういう訳じゃなくて……」
なんて言うんだろ、嫌とかそんなんじゃなくて。ほら、静谷さんがここに来るんだろ?
いやいやいやいや、それマズイって。だって掃除とかほとんどしてないし、俺の部屋とか酷い状態になって……あ、別に俺の部屋に来る訳じゃないか。
いやだからってどこからどう見てもお嬢様みたいなあの人をこんな家に入れる訳にいかねぇよ!
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