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「どうですか? おいしいですか?」
「えぇ、すごく。今度料理教えてほしいわ」
希にそう答える静谷さん。希の料理はめちゃくちゃなのに本当においしい。最近になって俺の味覚の方がおかしいのかと思ってたけど、どうやら正常だったみたいだ。
「ニャオーン」
「あら、どうしたの?」
ヨシノが静谷さんの膝から降り、走ってリビングから出ていった。たぶんトイレだろう。
「ねぇねぇ先輩、食べ終わったらゲームしよ!」
希がそんな事を言った。食べ終わったらとは言ったものの、鍋はもうほとんど空っぽだ。そう思ったら希はキッチンに向かい、フライパンを熱し始めた。
……あぁ、ホットケーキか。俺が食べたいって言ったのに忘れてた。
「これもおいしいわ。希ちゃんって本当に料理が上手なのね」
「そんな事ないですよ~」
希が照れながらそう返す。かなり嬉しそうな顔だ。
「ごちそうさま~。じゃあナオ! 部屋からゲーム持ってきて!」
「はいはい」
希が空になった皿を運んでいく。俺はそう言って立ち上がり部屋に向かう……予定だった。
「あ、私結原君のお部屋見たいな」
「いや、それはちょっと……」
マジでそれは勘弁してください。引っ越してから1回しか掃除機かけてないんです。PSPやらDSがその辺に置いてあるんです。ゴミ箱からゴミが溢れそうになってるんです。布団ぐちゃぐちゃなんです。
「良いじゃん良いじゃん! ナオの部屋は2階に上がってすぐです!」
「ありがと、希ちゃん」
拒否権なしでした。仕方なく俺は部屋に向かう。あぁどうしよう、この人にあんな散らかった部屋を見せたくない。入ってすぐに臭いとか言われたら俺立ち直れそうにないな。
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