2.ただの先輩ではありません

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  「ナオどうしたの? 顔赤いよ?」  昼休み同様、希の第一声はそれだった。俺は適当にごまかしてゲームの準備をする。 「あっ、わかった! お嬢様先輩ナオに変な事されましたか!?」 「してねぇよ!」  希に向かって結構な力でWiiリモコンを投げ付けたら、まるで俺がパスしたみたいに楽々と受け取りやがった。チクチョウ万能人間め! 「どう先輩?」  そして俺の言葉など聞かなかったかのように静谷さんにそう言う。 「えぇ、大丈夫よ、されてないわ」  静谷さんはいつものように微笑んでそう言った。まぁ実際したと言われても否定できないんだよな…… 「じゃあお嬢様先輩がナオにしたの?」 「ふふっ、どうかしらね」 「そこも否定してください!」  というかそっちこそしっかり否定するべきでしょ! 希は希で何言ってんだよ! 「あぁもう……準備できたぞ」 「ありがと!」  希がそう言ってゲームを起動させる。最初にやるのは静谷さんがやった事あると言った格ゲーだ。 「あっ、ナオごめんこのゲーム2人用なの」 「4人用だよ! リモコンも3つあるよ! スネ夫かっ!」 「ナオだから……スナオ?」  いやそれだとただの良い人じゃねぇか。そして俺のポジションはのび太だのび太。 「じゃあ2人プレイっと」  希がそんな事を言ってリモコンを操作する。マジで2人プレイにしやがったよ! 「辛い時こそペットに癒してもらうのよ?」  静谷さんがそう言って微笑む。あぁなるほど、俺は納得して床で寛いでいるヨシノの所に向かった。確かに猫を見てると癒され…… 「シャーッ!」  どうせこうなるだろうと思ったよ!  
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