2.ただの先輩ではありません

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  「すっごいなぁ……」  静谷さんが家の中に入っていった後も、希は歩こうとはせずに静谷さんの家を眺めていた。開いた口が塞がらないとはまさにこの事だろう、卵がすっぽり入るくらい口が開いている。 「ほら希、帰るぞ」 「あっ、う、うん!」  希の口がようやく閉じ、足が動き出した。でもその気持ちもわからなくはない、俺だって1人だったら呆気に取られて希みたいになってたかもしれない。 「すごいなぁ~、本当にお嬢様なんだね~」 「あぁ、俺もびっくりした」  さすがにあそこまでだとは思わなかった。もしかしたらメイドとかいたりするのかな。 「いつ行こっかな~、楽しみだな~」  ルンルン気分で歩いている希。足取りもかなり軽い。 「間違いなく場違いだな」 「あ~ひどい!」  希が頬を膨らませた。残念だけど事実だ、希みたいに食事中にすら黙れない人は絶対に場違いだろう。俺もたぶん場違いになるけど。田舎者だし。 「ねぇ、ナオ」 「ん?」  希が急に足を止めてそう言った。 「ナオってさぁ、もしかして……」  希はそこで言葉を止める。俺は希の方を振り返って表情を見ようとしたけど、街灯まで遠くあまりよく顔が見えない。 「あっ、コンビニ発見! フライドチキン食べる!」 「はっ? あ、おい待て! 今何か言おうとしただろ!」  あぁもうダメだ、あいつの考えは全くわからん。俺はため息をついてコンビニに走っていく希を追いかけた。
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