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穏やかな昼下がり
静雄はポケットに手を入れてあ、と小さく声をあげた
携帯が無い
ぱっぱっと逆のポケットや尻ポケット、ベストやシャツくまなく調べても、無い
「ウチに忘れたか…?…気付かなかった」
がしがしと頭を掻きながら呟いて、まぁ違和感はあるが大丈夫だろうと…トムの待つ場所へ向かった
所変わって臨也の事務所
「ふふ、油断したねシズちゃん」
そう言いながら手に持つは静雄の携帯
むしろ何故持ってるのかとか、ストーカーかとかのツッコミはふせてもらいたい
「……今度は何する気なの?弱味でも握る気?」
ソファに座ってファイルを見ていた波江が尋ねる
臨也は携帯をポンポンと手で浮かせてキャッチしながらまさか、と笑った
「むしろシズちゃんの乏しい履歴しかない携帯にそんな情報あったら地球は滅ぶね」
若干失礼だとは思うものの、確かにと答えるしかない波江だった
「じゃあ何……」
「これこれ」
携帯を開き暫くカチカチと操作しては待受画面を見せる
そこにはあの、ILove画があった
しかも名前には臨也
「これかなり精神的ダメージだと思うんだよね」
「そうね…明日辺り貴方の死体が発見されないよう祈るわ」
懲りないなこいつ…と呆れながら、棒読みで答えてファイルに視線を戻す
聞く耳持たずの臨也は外見はそのままに、次々と中を変えていく
「さて…後は仕上げだ、これが一番重要なんだよね」
「………?」
今日一番の黒い笑みに、明日は血の海かと確信した波江だった
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