中学三年生

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「こんにちはー。」 ドアを開けてすぐ、誰に声をかけるともなくぼそりと呟く。 「お、ユウスケ。 今日も元気ねえなあ。」 カウンター越しに女の子と話していた塾長が、こちらに顔を向けてニヤリと笑った。 あまり声に抑揚が無いためか、よく元気が無いように見られる。 自分では、特に問題もなく元気なつもりなのだが。 「そういえば、お前、N高志望だよな。 今日は先輩が来てるぞ。」 そう言って手をかざした方を見ると、先程まで塾長と話していた女の子と目が合う。 襟に二本の白いラインが入った、濃紺のセーラー服。 胸元には、制服より少し薄いくらいの、紺色のリボン。 確かに、N高の制服である。
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