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最近急に寒くなったからか、上はブラウンのカーディガンを羽織り、膝下まであるスカートからは黒いタイツを纏った足
が伸びる。
肩に付くくらいの栗色の髪の毛。
左右に弧を描いて分けられた前髪の下から、一重なのにぱっちりとした目が覗く。
焦げ茶色の瞳が、じっとこちらを向いたまま動かない。
「……ユウくん?」
その音は、拒絶することもなく、戸惑うこともなく、違和感を感じることもなく、すんなり僕の耳に入ってきた。
懐かしい響き。
一体いつぶりだろうか。
同じように名前を呼んで、満面の笑みをたたえてこちらを見下ろす少女の姿が目に浮かんだ。
「もしかして、姉さん?」
僕の返事を聞いた途端、これ以上顔を崩すのは不可能だと思うくらいに微笑んで、やっぱりユウくんだあ、と呟いた。
姉さんは、昔から、笑うと目が三日月形になる。
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