中学三年生

5/11
前へ
/86ページ
次へ
「なに、お前たち知り合いなの。 というか、姉さん、て。 ユウスケは一人っ子じゃなかったか?」 僕と姉さんの顔を忙しく交互に見て、塾長は怪訝そうな顔をする。 「違うよ、先生。 ユウくんは私の幼なじみなの。」 そう、僕と姉さんは幼なじみだ。 小学生の頃、家が隣同士で家族ぐるみで仲がよかった。 姉さんには年の離れた実の姉がいて、当時、もう高校生くらいだったと思うけど、面倒見が良くて、優しくて、姉さんだけでなく、僕にも良くしてくれた。 彼女はそのお姉さんが本当に大好きで、大きな憧れを抱いていた。 その憧れからだろうか。 ある日、自分も「お姉ちゃん」になりたい、と考えた彼女は、2歳年下で一人っ子の僕を弟に指名し、「姉さん」と呼ばせるようになった。 正直、彼女を「姉さん」と呼ぶのはものすごい違和感があったが、一度決めたら真っ直ぐ突っ走る彼女の勢いに押され、口を無理やり「姉さん」と動かした。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加