†プロローグ†

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扉が開いたことにより、 そこから煙が人間と共に 吹き出した。 出てきた人間はほとんどが白衣を着ていて、 明らかにインドアな人ばかりだった。 もし誰かが彼らを見かけたら、 きっと学者のイメージをもつだろう。 しかし今は学者らしさはなく、 ただ叫び、ただ怯え、 まるで子供のようだった。 そんな雪山とは無縁で、 ただ静かな夜空だったが、 雪山に巻き込まれたように騒がしくなった。 夜空から沢山の大型ヘリが機械音を鳴らしながら降りてきた。 ヘリは地上から一定の距離を置き、ヘリの扉から梯子を落とした。 建物から出てきた人たちは、 我先にと梯子の取り合いを初めた。 それはまるで、地獄に垂れた蜘蛛の糸を取り合う罪人のようだった。 数分後、ヘリに全員乗ってはいないものの、 雪山に足を着けている人はいず、ほとんどが梯子にぶら下がる状態になった。 ヘリは、これ以上は危険と判断したのだろう、 再び動き始めた。
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