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「なァ、オ嬢ちゃん……」
「お嬢ちゃんじゃなくて、エノクです!」
「……そうか、じゃア、エノク」
「はい?」
「オレ達みたイには、なるなよ」
「……!」
「今日トレーナーになって、ポケモンリーグを目指してイるんだろ? だったらオレ達みたな負け犬にはなるな」
「バルクさん……」
「……さて」
バルクは廃工場の方を見た。
そこには数人の男がこちらを見ていた。
「これでオレは自分の居場所を守れなかった。本当に負け犬だな、オレは」
「バルクさんは負け犬じゃありません」
エノクはバルクに向かって言った。
「確かにトウエンさんには負けちゃったかも知れませんが、でもあんなに強いじゃないですか!」
「……」
「だからこんな所にいないで、もう一度ポケモンリーグ目指しませんか?」
バルクは暫くエノクの真っ直ぐな目を見て、大きく溜め息をついた。
「知ったような口をきくな。お前らにはもう用は無い、さっさと帰れ」
そしてバルクは廃工場の方へ歩いていった。
エノクはバルクに何か言おうとしたが、トウエンが肩に手を置いて首を横に振った。
「……」
そして二人は廃工場を後にした。
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