†第Ⅰ話†

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「なァ、オ嬢ちゃん……」 「お嬢ちゃんじゃなくて、エノクです!」 「……そうか、じゃア、エノク」 「はい?」 「オレ達みたイには、なるなよ」 「……!」 「今日トレーナーになって、ポケモンリーグを目指してイるんだろ? だったらオレ達みたな負け犬にはなるな」 「バルクさん……」 「……さて」 バルクは廃工場の方を見た。 そこには数人の男がこちらを見ていた。 「これでオレは自分の居場所を守れなかった。本当に負け犬だな、オレは」 「バルクさんは負け犬じゃありません」 エノクはバルクに向かって言った。 「確かにトウエンさんには負けちゃったかも知れませんが、でもあんなに強いじゃないですか!」 「……」 「だからこんな所にいないで、もう一度ポケモンリーグ目指しませんか?」 バルクは暫くエノクの真っ直ぐな目を見て、大きく溜め息をついた。 「知ったような口をきくな。お前らにはもう用は無い、さっさと帰れ」 そしてバルクは廃工場の方へ歩いていった。 エノクはバルクに何か言おうとしたが、トウエンが肩に手を置いて首を横に振った。 「……」 そして二人は廃工場を後にした。 ~†~
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