16人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そんな事より、ミジュマルに何か言う事があるだろ?」
トウエンは我ながら下手な誤魔化し方だと思いながらも話しを戻した。
「あ! そうですね」
しかしエノクは特に気にする事なく、トウエンの話しに乗った。
(鋭いのか鈍いのか解らないな、この子は……)
エノクはモンスターボールを足元に投げて、ミジュマルをボールから出した。
出てきたミジュマルは昼間のバトルの傷が無く、後すら残っておらず、完全に回復していた。
「ミジュマル! 怪我は大丈夫なの? ああ、本当に良かった……」
エノクはしゃがんでミジュマルを抱きしめた。
ミジュマルは少し苦しそうだが、それ以上に嬉しそうだなと、トウエンは眺めながらそう思った。
エノクは強くミジュマルを抱きしめていたが、暫くしてミジュマルを離し、ミジュマルの肩を持ち真っ直ぐに見つめた。
「ミジュマル、本当にごめんなさい」
エノクは頭を下げて言った。
「私、自分の勝手でミジュマルに実力差のある相手と戦わせて、あんな酷い怪我を負わせて、本当にごめん……。私、ミジュマルのトレーナー失格だね……」
エノクは泣きそうになりながらも、涙を堪えながら言った。
エノクの言葉を聞いていたミジュマルは、そっと自分の肩においているエノクの手を重ねるように置いた。
「……!」
最初のコメントを投稿しよう!