†第Ⅰ話†

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トウエンはまた溜め息をついた。 旅をしてから何だか溜め息が多くなったな、とトウエンは思った。 「二つ目は、相手が強者なら、負けられないバトルには挑むな。これは昨日エノクが体験した事だな」 「……!」 エノクの表情が昨日の事を思いだし、少し固くなった。 「勝てない相手なのに負けられないのなら、最初から挑むな。わかったか?」 「……はい」 「けど、それでも挑まなきゃならない時もあるだろう。その時に三つ目だ。それは……」 「……それは?」 トウエン間をあけてからこう言った。 「頑張って勝つ!」 「はい!? 何ですか、その最後の投げやりは!」 「仕方がないだろ、勝てない相手なのに負けられないバトルをするんだ。言える事は頑張れしかない」 「……えー」 エノクは何だか残念な気持ちになった。 「けど、強いから勝てるとは限らない」 「……どういう事ですか?」 「強者は弱者に勝てるとは限らないっていう、はなしだよ」
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