†第Ⅰ話†

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「……忘れました」 「はい?」 「ポケモン図鑑を貰うの忘れました!」 「いちいち叫ぶな! そんな叫ばなくても聞こえてるって……」 「トウエンさん!」 エノクはガシッとトウエン肩を掴んだ。 「な、何だ……?」 トウエンはエノクの勢いに圧倒されながらも答えた。 「私、今からトビト博士の研究所に行ってポケモン図鑑を貰ってきます」 「……ああ、わかった。なら俺はここで待って……」 「なのでトウエンさんも来て下さい!」 「えっ! 何故?」 トウエンの疑問にエノクは答えなかった。 エノクはトウエンの片腕を掴み、そのまま引きずりながら町の方へ走って行った。 「ちょ、わかったから、そんな急がなくても図鑑は逃げないから! と言うか、俺の話しを聞けー!」 トウエンの叫びが朝のアゲロスタウンに響いたが、勿論それをエノクの耳に入ってはいなかった。 ……どうやら二人の旅は、始まる前から躓いたらしい。 ~続く~
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