16人が本棚に入れています
本棚に追加
「……忘れました」
「はい?」
「ポケモン図鑑を貰うの忘れました!」
「いちいち叫ぶな! そんな叫ばなくても聞こえてるって……」
「トウエンさん!」
エノクはガシッとトウエン肩を掴んだ。
「な、何だ……?」
トウエンはエノクの勢いに圧倒されながらも答えた。
「私、今からトビト博士の研究所に行ってポケモン図鑑を貰ってきます」
「……ああ、わかった。なら俺はここで待って……」
「なのでトウエンさんも来て下さい!」
「えっ! 何故?」
トウエンの疑問にエノクは答えなかった。
エノクはトウエンの片腕を掴み、そのまま引きずりながら町の方へ走って行った。
「ちょ、わかったから、そんな急がなくても図鑑は逃げないから! と言うか、俺の話しを聞けー!」
トウエンの叫びが朝のアゲロスタウンに響いたが、勿論それをエノクの耳に入ってはいなかった。
……どうやら二人の旅は、始まる前から躓いたらしい。
~続く~
最初のコメントを投稿しよう!