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変わり始めた日。
公立の学校が一斉に夏休みに入る時期、7月の下旬。
終業式が終わり、学校の帰り道、僕らはこの夏休みの予定について話していた。
「俺はバイトがみっちり入ってるから、あんまし暇無いぜ」
彼は崎秀一(さきしゅういち)。
割としっかりしているやつだが、性格が軽いというか、お調子者というか・・・
髪はボサボサの短髪で、人のよさそうな顔をしている。
僕は
「暇だな。父さんはずっと帰ってこないし。特に予定は無いよ」
僕の母は、僕が生まれてすぐに、死んでしまったらしい。
父は、海外に単身赴任で、9月になるまで帰ってこない。
「淋しいやつだな。いい加減彼女の一人でも作れよ」
「おまえが言うな」
秀一だって彼女はいない。
「だけどよ、おまえ、なんで志麻とくっつかないんだ?」
志麻と言うのは、俺たちの、中学からの友達のことだ。
「志麻はそう言うのじゃねえ」
「そうか?結構お似合いだと思うぞ」
「わ、私と、俊樹くんじゃ、つり合わないよ・・・」
そう言って、赤くなってる。
こいつが遠野志麻(とおのしま)。
僕たちと同じ学年だが、控えめなやつで、よく年下だと思われる
小柄で、くりっとした瞳、真っすぐなセミロングの黒髪。
童顔で、小学生と間違われそうなくらいだ。
「俊樹くんは、勉強もスポーツもできるし・・・。私なんか両方できない・・」
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