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「るせぇ! 何回起こしてやったと思ってんだ!?
こっちは良心から発車時刻遅らせてまでやってんのに、"あと5時間"!?
山さんがいなきゃ轢き殺してんぞ!!」
相手の男は恐持ての顔でさらにドスをきかせ、えらく早口でまくし立てる。
しかし、俺は寝起きのイヤーなので、9割以上を聞かなかった事にしました。
山さんしか聞こえてない。
会話の10割が山さん。
てか、山さんって誰だっつー話だよ。
だってなぁ?
眠いんだからしょうがないだろ。
「ん。メンゴメンゴ」
とりあえず適当にスルーして、男の隣を通り過ぎる。
駅に停車していたのはどんな年代物の汽車かと思えば、やけに黒光りした渋いSLだった。
年代物には違いないが、顔が映るほどに磨きあげられた車体からは、言い表せぬ惹かれるものがあった。
てか、異世界にSLてなんでもありか? 大体、人がいるし、言葉も通じるし。
パラレルワールド……いや、まだまだ資料不足か。
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