311人が本棚に入れています
本棚に追加
何はともあれ、実は何気に鉄道好きな俺にとっては、SLなんてヨダレもんなわけで。
リアクションこそしなかったものの、心臓なんかはバクバクなわけで。
眼なんか……あー、もういいや。それより速く乗り込もう!
自分でも無意識下かに鼻息を荒くさせながら、今車内へと足を――
「待てコラ」
ムンズッ
何やら古めかしい擬音と共に身体が前に進まなくなった。
ヤンキーの清潔感ある白い手袋を嵌めた手が、俺の襟を掴んで離さない。
「気が早いっつの。
じょーしゃけん、見せてもらおうか?」
ヤンキーは切符を切り取るちっちゃいペンチ見たいなアレ――名前わかんねぇや。
そんな感じのアレをカチカチ音を鳴らせていた。
「へーへーせっかちさんだなおい。えーと、乗車券ね。
……乗車券?」
「乗車券」
「乗車券?」
「乗車券」
持ってねぇよ。
最初のコメントを投稿しよう!