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まんまとSLの中に侵入するが、あの車掌は追って来ない様子。
察するにこのSLは禁煙なのだろう。
くわえた煙草をどうしようかと、もどかし気な動きを見せている。
しかしそんなことにかまけている時間はない。
発車するまではどこかに身を潜めておこう。
「へっ、ちょろいちょろい。
三日間隠れ続けた、かくれんぼチャンピオンの俺には、ヤンキー一人出し抜くなんて朝メシまべっ!?」
隠れる場所を探そうと振り向いたその直後だった。
俺の鼻先は壁――というには少し頼りない重量の『何か』にぶつかった。
「おっと、すまない少年。
怪我はないかな?」
鼻を押さえてうずくまっていた顔を上げると、すらりとした長身の初老の男性がいた。
少し毛色が違うようだが、あの車掌の制服に酷似している。
やべぇ、仲間Bか。
いや、それより……
「山さん……?」
初老の男性は、凄く山さん顔だった。
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