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ノートパソコンから溢れる光のみの薄暗い一室。
少年は一人、キーボードを叩く。
パソコンの画面上には、キーボードが音を起てる度に文字が羅列していく。
そこには一般人には到底理解できないであろう、数式、方程式が書き記されていた。
既に高校の履修を独学で全て終え、高校の授業が消化するだけのもとなってからは高校にも行っていない。
高校入学二ヶ月にして立派な引きこもりと化していた。
それからはひたすらに難関大学の問題を解く日々が続いていた。
ひとしきり打ち続けると少年は大きくEnterキーを叩き、静かにパソコンを閉じた。
「ふぅ……」
少年は疲れた目を押さえ、脇に置いてあったコーヒーを一口呑む。
一息つくと、少年は机の上のリモコンを操作して明かりを点け、一枚の手紙を引き出しから取り出した。
「東大の超難問がこの程度なのかよ……
少し早いが計画を実行に移すしかないみたいだな」
情けないといった表情でため息をつき、取り出した手紙を見つめる。
それは事故で死んだ父が残した遺書。
そして――異世界への道標だった。
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