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「いってぇ……」
後頭部に痛みを覚えながら瞳を開くと、痛いくらいの輝きが瞳に差し込んだ。
瞬きをしながら右手ににぎりしめられたチケットを見つめ、思い出す。
そうだ……階段を上りきった後確か――
「――来たぜ異世界……来た来た来た来たぁ!!」
堪らなく興奮する気持ちを押さえながら、冷静に辺りを見渡す。
反転した世界。
空が下に。大地は上に。
木々は大地から空へと真下へ育っていた。
「うお……まさに異世界……?」
…………
コロン。
寝返りをうつと世界は逆さになり、普通の風景へと戻った。
「……こういうこともあるよ」
真っ赤に染まる頬を隠しながら、何事もなかったかのように汚れた服を掃う。
さてさて、これからどうしますか。
目に刺さるような陽射しを腕で遮りつつ、360゚を全て見通す。
そして見付けたのは、地平線の果てから続く一本の線路。
線路の反対側に目を向けてみると、揺れる陽炎の向こうに建物が建てられていた。
「……駅舎……か?」
よし! とりあえずはあそこを目指しますか。
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