It's Another World

2/20
前へ
/142ページ
次へ
「いってぇ……」 後頭部に痛みを覚えながら瞳を開くと、痛いくらいの輝きが瞳に差し込んだ。 瞬きをしながら右手ににぎりしめられたチケットを見つめ、思い出す。 そうだ……階段を上りきった後確か―― 「――来たぜ異世界……来た来た来た来たぁ!!」 堪らなく興奮する気持ちを押さえながら、冷静に辺りを見渡す。 反転した世界。 空が下に。大地は上に。 木々は大地から空へと真下へ育っていた。 「うお……まさに異世界……?」 ………… コロン。 寝返りをうつと世界は逆さになり、普通の風景へと戻った。 「……こういうこともあるよ」 真っ赤に染まる頬を隠しながら、何事もなかったかのように汚れた服を掃う。 さてさて、これからどうしますか。 目に刺さるような陽射しを腕で遮りつつ、360゚を全て見通す。 そして見付けたのは、地平線の果てから続く一本の線路。 線路の反対側に目を向けてみると、揺れる陽炎の向こうに建物が建てられていた。 「……駅舎……か?」 よし! とりあえずはあそこを目指しますか。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

311人が本棚に入れています
本棚に追加