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「あ゙っつ……」
駅舎らしき建造物に向かって歩くこと数十分、今だに建物は陽炎の向こう側にあった。
「なんでこっちも夏なんだよ……てかずっとこの気候か!?」
額を伝ううざったい汗を拭い、苛立ちを木を蹴っ飛ばして紛らわす。
……思いの外に硬かった木のせいで、余計に苛立ちが増したのは天罰だろうか?
「これはあれだ……時計を眺めてると中々時間が進まない現象だ。
見てるから全然進まない――なら見なけりゃいいじゃん」
うん。我ながら素晴らしい理論だ。
天才に不可能無し!!
木々が作り出す僅かな木陰を移動をするのを止めると、線路上に乗り上げ、目をつむって駅舎まで一直線に歩き出す。
途中、何度か線路上に敷き詰められた小石に躓きそうになったが、目を閉じたまま自分を信じてひたすら歩く。
新しい歩き方を見出だして数分、突如脳天に衝撃が走る。
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