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「だ、大丈夫か? 怪我とかしてないか?」
「ぅ…ん……」
少女は鳴咽まじりにコクンと頷く。
気が付けばもう少女の涙は止まっていた。
歳が近かったからなのか、それとも少年の態度が優しかったからなのか、少女は何と無く殺される心配は無いと悟っていた。
「そか! よかった~。
とりあえず大声厳禁。あんまり怪しい行動とられるとこっちも色々しなきゃなんないから。一応無理矢理にでも従ってもらうな。
こっちは命が懸かってるもんで……」
「わかったわ……」
表面上は大人しく従っている少女だったが、頭の中はこの侵入者をどう倒すかで一杯だった。
いくら無害そうに見えても相手は不法侵入してきた男。いつ何をされてもおかしくない。
(まずはレリーフをどうやって取るか……)
少女は少年の後ろの机に置いてある指輪を見つめる。
レリーフとは魔術の発動に不可欠な媒体。いかに魔力を持っていたとしても、レリーフが無ければ魔術は使う事ができない。
少女は着替えの時に外してしまっていた。
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