少年はピエロ

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ベッドまではもう射程圏内。あとはダイブのみ。 「いざっ!」 ジェイドは身体を重力に任せ、緩い弧を宙に描く。 ポフン 布団はそう柔らかな音を起て、ジェイドの体を母の如く包みこんだ。 「!? このふわふわで暖かいのなんだ!?」 ジェイドは布団を抱き抱えながら驚きの表情で叫ぶ。 「なんだも何も、布団でしょうが? ……まさか知らないの?」 「寝る時はいつも床の上だったし、最近は木の上とかだったからな……」 この世の中のどこに布団を知らないの人がいる? アリスは改めてジェイドの並々ならない境遇を思い知らされた。 「布団……ふわふわぁ……コレ好きぃ……」 布団を抱きしめながら悦の入った笑顔で顔を擦り寄せる。 (か、カワイイ!!) 誰が呼んだのか、『可愛い物ハンター』で通っているアリスにとって、この16歳少年らしからぬ笑顔は反則なまでにどストライクだった。
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